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No.0019 2023.7.23



Nch FETの使い方









□ 1.FETの使い方 その1

LT SPICEで、NchFETの使い方を簡単に説明します。
FETの原理等については、書籍で良いものがたくさんありますので、自分で買って読んでみてください。

これが一番簡単な回路です。
FETには、LT SPICEにて標準対応している ローム RSJ400N10 を使用しています。負荷には4Ωの抵抗を付け、VDSは車載を想定して14Vにして、負荷やFETに3.5A流れることになります。ゲートに5Vの電圧をON/OFFさせて、FETを動作させています。




赤はゲート電圧、黄色はドレイン電圧です。きちんとスイッチング動作していることが分かります。




RSJ400N10は、4V駆動タイプのため、5Vでもスイッチング動作は可能です。しかしFETの基本特性として、ゲート電圧が大きいほどON時の損失が小さい、すなわち発熱が小さい特性があります。 下図は、ゲート電圧を上げたときの発熱を示すものです。ピンクがゲート電圧、赤が発熱量、黄色がドレイン電圧です。OFFからONに切り替わる2Vくらいのときに、膨大な発熱をすることが分かります。




ゲート電圧と発熱の関係を分かりやすくするために、ゲート電圧の範囲を2.5Vから24Vへ変更したものです。ピンクがゲート電圧、赤が発熱量です。ゲート電圧に応じて発熱が小さくなっている、すなわち損失が小さくなっていることが分かります。








□ 2.FETの使い方 その2

ゲート電圧が高いほうが、損失が小さくなります。
そこで負荷用の14Vをゲート電圧として使用する回路例が以下になります。





RSJ400N10 のゲート電圧をON/OFFさせるために、Pch FET のローム RSR025P03 を使用しています。これも LT SPICE 標準で使用でき、小さいパッケージで2Aまで流せる小電力回路や信号回路用のFETです。このPch FETのゲート電圧をON/OFFさせるために、Nch FET のローム RTR025N03 を使用しています。これも LT SPICE 標準で使用でき、小さいパッケージで寄生容量も小さく、低いゲート電圧で2Aまで流せる小電力回路や信号回路用のFETです。

下図は、各ゲート電圧を示すものです。赤が RTR025N03 のゲート電圧、黄色が RSJ400N10 のゲート電圧です。ゲート電圧を高くし、RSJ400N10 の損失を下げることができました。




この回路では14Vのゲート電圧を抵抗分割し、ゲート電圧を下げています。冒頭でも述べました通り、14Vは車載を想定しています。車載において12V系は10〜16Vの範囲で変動し、過電圧として24Vまで想定するのが一般的です。RSJ400N10 の場合、ゲート電圧の最大値(絶対定格)は20Vですので、電源電圧が24Vになったときのことを想定する必要があります。そのためゲート電圧を抵抗分割して下げています。

下図は、電源電圧と抵抗分割で生成されたゲート電圧を示すものです。赤が電源電圧、黄色がゲート電圧です。図より電源電圧が24Vとなってもゲート電圧は18V未満であり、FETの絶対定格以下となります。




抵抗値をキッチリ合わせて絶対定格ギリギリにすることも可能ですが、抵抗はなるべくE系列で入手しやすいものを使用するのが鉄則です。このとき、抵抗分割の比が同じであっても、抵抗値を大きくすると電流が流れにくくなってしまうため、スイッチング特性(ON/OFF時の過度特性)が悪化してしまいます。 しかしスイッチング特性を改善するために抵抗値を下げてしまうと、FETを駆動させるために電流を捨ててしまうことになり、駆動損失が大きくなってしまいます。




□ 2.FETの使い方 その3

上記の回路ではゲート電圧を抵抗分割によって生成していたため、電源電圧の影響を受けてしまいます。そこで改善回路としての一例が、以下になります。ゲート電圧をLDO(三端子レギュレータ)で生成しています。LDOは12V固定のものを使用しました。ロームで発熱の小さい高性能なLDOが色々出ています。




抵抗分割の必要がなくなったため、使用する抵抗を減らしています。FETがONしたときの電流制限として、抵抗を残しています。LDOを使用するときはデータシートに記載されている容量のセラコンを使用する必要がありますが、今回は省略しています。

下図は、電源電圧とゲート電圧の関係を示すものです。赤が電源電圧、黄色がゲート電圧です。図より電源電圧が24Vとなってもゲート電圧は12V一定であり、FETの絶対定格以下となります。図の場合、電源電圧が13V未満の場合、ゲート電圧が電源電圧より1V程度低くなってしまっていますが、ロームの最新の低損失LDOを使用すると、この電圧降下分が非常に小さくなります。










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