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No.2761 2025.9.12




ムーヴコンテ/ピクシススペース L575A ドライブシャフトブーツ交換





コーナリング時や段差でガタガタ、カタンカタンと高音域の異音が出るようになりました。下回りを確認したところ、ドライブシャフトブーツが破れていました。破れたところから水分が浸入し、グリースが乳化して粘度が落ち、ベアリングのクリアランスからの打音がガタガタ音の原因でした。今回は非分割式のドライブシャフトブーツでオーバーホールします。

今回は等速ジョイントグリースに一般的な粘度の物を使用したため、オーバーホール後はブレーキを踏んだ時に鳴っていたカタッという異音も無くなりました。キャリパーから鳴っているものだと思っていましたが、ドライブシャフトが原因だったようです。



□ 1.オーバーホールの概要

ブーツバンドに沿うように、助手席側のドライブシャフトブーツが裂けていました。 ゴムではなく樹脂製だと思うのですが、厚さの薄い部分に応力が集中して切れてしまうようです。




パックリ割れています。




ドライブシャフトをミッションから抜くとCVTフルードが垂れてくるため、オイルパンからCVTフルードを抜いておきます。 CVTフルードの交換については、
レポートNo.2755 ムーヴコンテ/ピクシススペース L575A CVTフルード交換  を参考にしてください。




抜いたCVTフルードです。入れた時は透明な緑色でしたが、濁った紫色になってしまっています。




ドライブシャフトのハブロックナットを外すため、ラスペネをひと吹きします。




ラスペネは業務用がおススメです。




30mmのソケットを使ってインパクトで外します。ロックナットの凹んだ部分は、何もせずにそのままで大丈夫です。




ロックナットを外したら、ロアアームのボールジョイントを外します。
ボールジョイントの外し方については、
レポートNo.2757 ムーヴコンテ/ピクシススペース L575A ロアアーム交換 (運転席側)  を参考にしてください。
タイロッドエンドプーラーを差し込むときは、ハンドルを回して外側に広げると入りやすくなります。




ロアアームを下に押して、ボールジョイントとハブナックルを切り離します。




ハブナックルとドライブシャフトを切り離します。錆で固着している場合は、ハブナックルやハブベアリングに異常があるため、そちらも交換になります。通常は固着しない部位になります。




ドライブシャフトは、引っ張って抜くのではなくて、バールのような物やタイヤレバー等をミッションとドライブシャフトの間に入れて押し出すように抜きます。整備書にも、そのように記載されています。このときのシフトレンジは、PではなくNにしておきます。




バールは大きめの物がおススメです。刃先はバリがないように削って丸めておきましょう。




抜いたドライブシャフトです。




ハブ側です。




ミッション側です。




バールやタイヤレバーを差し込むときは、矢印の凹み部分の角にバールの刃先が当たるようにして、てこの原理で押し出すと抜けます。抜けない場合は、ドライブシャフトを回して、別の凹みの部分で試してみます。




まずはミッション側のドライブシャフトブーツから分解します。
大きな強力ニッパー等を使用して、ブーツバンドを外します。




ジョイント部分を抜きます。中のグリースがオイルのように液状化してしまっています。




グリースを綺麗に拭き取ったら、軸先のCリングを外します。スナップリングプライヤー等を使うのですが、はめ込む穴がないため、コツがいります。




ペアリングプーラーとベアリングセパレーターを組み合わせて、三又ベアリングを外します。




シャフトとベアリングに、マジック等で合いマークを付けておきます。ハブナックル側の等速ジョイント構造との角度位置が問題になるため、キチンと合いマークを付けましょう。




ベアリングセパレータは、締めすぎるとシャフトのテーパー部分と干渉するため、ある程度の緩めにしておきます。 写真のようにベアリングと、セパレータの平面が当たるようにします。あまり力を入れなくても、シャフトから抜けます。




抜いたベアリングASSYです。赤矢印のように穴の角がテーパー状に加工されている面が、軸に入る側です。




邪魔をする物がなくなりましたので、ミッション側(インナー側)のドライブシャフトブーツを抜きます。
ハブナックル側(アウター側)のドライブシャフトブーツも同じように、ブーツバンドを取ってから外します。




シャフトとハブナックル側(アウター側)の等速ジョイントのみになりました。




ハブナックル側(アウター側)の等速ジョイントは、非分解式のため、このまま古いグリースを拭き取ります。 叩いて取り外すような記事を時々見かけますが、ボールのハウジングが変形してしまって外れてしまっているので、破損させていることになります。




等速ジョイントを折り曲げた状態でグリグリ回すと中のグリースが出てくるので、根気強く拭き取り続けます。




ちなみに正常な状態のブーツを外した直後は、こんな感じです。ブーツが裂けて水分が入ると、写真の状態よりも橙色っぽくなります。




新しいブーツには社外品を使用します。ハブナックル側(アウター側)は、丸一ゴム工業/02-167(モノタロウ注文コード:43327699)を使用しました。 純正品番は、前期:04425-B2110、後期:04425-B2200です。 左側のブーツが元々付いていた物、右側が新品です。




樹脂製からゴム製になるためか、破れている付近の肉厚が厚くなっています。




等速ジョイントグリースは、たっぷり盛ります。ダイソーニチモリ製のBJグリース(モノタロウ注文コード:32737302)が定番です。今回のドライブシャフト1本につき、BJグリース1個半使いました。




ブーツバンドが4個入っていると箱に記載されているので不思議に思ったのですが、通常タイプとワンタッチタイプが入ってます。今回はワンタッチタイプを使ってみます。




最初に大きなほうを取り付けます。ワンタッチなので簡単に取り付けられました。これは便利です。




ブーツバンドがワンタッチなのですぐに作業が終わりました。




ミッション側(インナー側)のドライブシャフトブーツも社外品を使いました。 純正品番は、前期:04437-B2020、後期:04437-B2300 です。今回は大野ゴム工業/FB-2212(モノタロウ注文コード:68856725) を使用しました。
右側が元々付いていた物、左側が新品ですが、ジャバラの形状が異なり穴の大きさ若干小さいため、前期後期で間違って買ってしまったようですが、とりあえず組み付けて問題なさそうな感じでした。




右側が元々付いていた物、左側が新品です。こちらは破れてなかったのですが、予防措置で新品に交換です。




まずはドライブシャフトブーツを入れます。




三又のベアリングを挿入します。21mmのソケットを介して、ハンマーで軽く叩いて圧入します。




Cリングを取り付けてから、グリースを塗ります。ニードルベアリングの隙間等にも押し込むように塗り込みます。




これくらい盛ります。




カップ側の中にもグリースを塗り込みます。




カップとベアリングを組み付けて奥まで入れて、グリースで埋めます。




ドライブシャフトブーツをカップにはめ込んで、ブーツバンドで留めます。 付属のブーツバンドは簡素な作りなため、定番のJTCブーツバンド TW2146-6(モノタロウ注文コード:21374605)を使いました。ブーツバンドの締め込みには、モノタロウ製ブーツバンドツール MHC-81433(モノタロウ注文コード:05379307)を使います。




教科書等では最後にポンチを使うように記載されていますが、いつもマイナスの貫通ドライバーで叩いています。




組み付けが完了しました。ブーツの品番が異なってしまいましたが、組み付けると写真のように違和感ない感じです。




組み付ける前に、ミッション内部に入り込むシャフトのスナップリングに変形やゴミが付いていないか確認しましょう。 強く押し込めばシャフトがミッションに入りますが、入らない場合は一度抜いて回して角度を変えてから再チャレンジしてみましょう。どうしても入らない場合は、ハンマーで軽く叩いて入れます。

ドライブシャフトを取り付ける前に、ついでにデフシールも交換しておくと後々の手間が省けると思います。詳細は、
レポートNo.2762 ムーヴコンテ/ピクシススペース L575A ドライブシャフト オイルシール交換  を参考にしてください。





以上が助手席側でしたが、運転席側も基本的には同じです。




白い布とマスキングテープが巻いてある部分は、ブレーキディスクカバーの突起部分です。腕などに当たってケガをしやすいので注意しましょう。助手席側も同様に危険です。




運転席側のドライブシャフトです。




真ん中のゴムは、引っ張ると簡単に動きます。




ハブナットの締め付けトルクは、196Nm (20kgfm)です。



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