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No.0022 2024.4.10



Nch FETを低い信号電圧で制御する方法









□ 1.1.8Vや2.5V、3.3V等のI/O信号

昔のマイコンであればデジタル出力は5Vです。低ON Nch FETを使用すれば、マイコンでそのままON/OFF制御できました。 しかし現在のマイコンは3.3V駆動ですので、信号用であれば制御できるFETも沢山ありますが、高耐圧大電流用では難しいでしょう。最近では1.8Vや2.5Vで駆動するマイコンも出ており、それに対応するために0.9Vや1.2Vの超低電圧駆動を謳ったFETもありますが、ドレイン電流量Idが少なかったり、ドレインソース間の耐圧Vdsが低かったりします。

今回は、高耐圧大電流FETを使う簡単な方法を紹介します。





□ 2.低い電圧はトランジスタを使う

1つはnpnトランジスタを介して動かす方法です。トランジスタは電流増幅です。ベースに印加される電圧が約0.7V以上になるとベースに流れる電流量に応じてコレクタに流れる電流も多くなります。

実際の回路例です。





回路の波形データです。
赤色のV(n004)はV1の電圧です。V1は信号源で、マイコン等のデジタル出力だと思ってください。
黄色のV(n003)は、トランジスタQ1の2SC3837KとR1間の電圧、すなわちFET M1のRSJ400N10におけるゲート電圧です。
ピンク色のV(n002)は、FET M1のドレイン電圧です。
水色のId(M1)は、FET M1のドレイン電流です。

信号源V1の電圧が約1.0V以上になるとトランジスタは完全にONとなり、FETのゲート電圧が0Vになります。
このときドレイン電流もキチンとOFFされていることが分かります。ベース電圧閾値の正確な電圧はトランジスタによります。




上記回路の場合、マイコン等からデジタル出力をHiにしたときFETがOFFとなってしまいます。普通はデジタル出力をHiにしたときFETがONとなるようにすべきです。その場合は、トランジスタを用いて以下のように反転させます。




修正した回路の波形データです。
各色のデータは上記と同じです。
ただし黄色のV(n003)は、トランジスタQ1の2SC3837KとR1間の電圧ですが、トランジスタQ2の駆動用になったためFET M1のゲート電圧ではありません。
信号源V1の電圧が約1.0V以上になったとき、FETがONとなりドレイン電流が流れるようになりました。












□ 3.超低電圧駆動FETも使える

同じように超低電圧駆動FETを介して動かすこともできます。
実際の回路例です。





RUC002N05は、ローム製の1.2V駆動タイプです。ドレイン電流は0.2Aで信号用です。ロームは他にも0.9V駆動の超低電圧駆動FETも存在します。
FETのM3は、V2の電圧がゲート電圧として掛かります。Vgsの最大値が8VのRUC002N05は使用できません。低電圧駆動FETでなくても大丈夫ですが、Vgs=20Vまで可能な4V駆動タイプのRSF015N06を選定しました。


出典:ローム株式会社 WEBサイト https://www.rohm.co.jp/products/mosfets/small-signal/single-nch/ruc002n05-product





回路の波形データです。
赤色のV(n005)はV1の電圧です。V1は信号源で、マイコン等のデジタル出力だと思ってください。
黄色のV(n004)は、FET M2のドレイン電圧です。
緑色のId(M2)は、FET M2のドレイン電流です。
ピンク色のV(n002)は、FET M1のドレイン電圧です。
水色のId(M1)は、FET M1のドレイン電流です。

信号源V1の電圧が約1.2V以上になるとFET M1は完全にONとなり、ドレイン電流が流れます。
トランジスタを使った回路と、ほぼ同じ動きになりました。




これならトランジスタもFETもどちらでも良いのですが、それぞれ一長一短あります。
昔のFETは寄生容量が大きく、トランジスタのほうが応答速度が良いとされていました。今どきのFETは、ドレイン電流が低い信号用において寄生容量が桁違いに少なくなったため、トランジスタよりも高速にスイッチングできます。損失が低いと言われるFETですが、ドレイン電流が低い信号用においてはRon抵抗が大きいため、トランジスタの損失とたいして変わりません。

と書くと、いにしえの時代からあるトランジスタよりもGaN FET、SiC FETといった進化をし続けるFETのほうが良いと思いますが、No.0018 FETの選び方 にて紹介したようにFETは基本的にショートモードで壊れます。まれにショートモードではなく、ほとんどショートモードです。価格については、低電圧駆動FETよりもトランジスタのほうが安いです。パッケージサイズについて同じ電流量が流せるものは、FETよりもトランジスタのほうが小さいです。








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