|  | No.0013 2023.8.24 
 
 
 
 電子負荷を買ってみた ET5410A+
 
 
 
 
 
 
 
 
 □ 1.Amazonで売られていた電子負荷
 
 
 |  | アマゾンで電子負荷が売られていましたので、購入してみました。中華メーカー製の ET5410A+ (実売価格29,000円) という製品です。主な仕様は、0〜150V、0-40A 400Wとなっています。つまり40Aのときは10V、150Vのときは2.6Aまで流すことができるようです。もし購入するのであれば、出荷元が「Amazon.co.jp」になっているものを購入しましょう。菊水電子の同等品PLZ334Wは 297,000円、テクシオの同等品LSG-350は 396,000円と、国内メーカーの1/10以下の価格です。 
 製造元は、杭州中創電子有限公司( http://www.easttester.com もしくは http://www.easttester.com もしくは https://www.easttester-cn.com/ ) という中国の会社です。
 
 
 
 以下は仕様の比較表です。国内メーカーの場合、160〜175Wのほうが10万円程度安いのですが、ET5410A+は400Wのため、同等の330〜350W品を比較対象にしました。仕様上では国内メーカーに劣らず、価格は1/10以下と凄いことが分かります。動作モードは、CC、CV、CR、CP、CC + CV、CR + CVの6モード対応で、機能的にも劣りません。
 
 
 電子負荷 仕様比較表
 
 
 
 
 
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 □ 2.外観確認
 
 
 |  | それでは外観を確認してみましょう。 金属製のしっかりとしたケースです。
 
 
   
 
 蓋を開けた状態です。電子負荷の負荷抵抗にNch FETを使用しており、
膨大な発熱が出るため、大きなヒートシンクで冷却しています。
前側のファンから風を取り込み、後方に排気されます。
 
 
   
 
 底面の基板です。負荷回路、電源回路、メイン制御回路のようなものが確認できます。
 
 
   
 
 左下にある大きな四角い部品は、HFD27/005 という型番の電磁リレーで、DC30V 2A のようです。
その左側に2492と書かれた抵抗(24.9kΩ?)が8個直列に2列並んでリレーに接続されているようです。
負荷経路のオープン検出用でしょうか?
 中段は、左から型番不明、Ti TL072C、A42S、A42S、357N、357Nと並んでいます。
 TL072C は、2chオペアンプです。
 A42S は、正式型番はTP358-SR、2chオペアンプのようです。
 周辺抵抗の並べ方から差動増幅にて高い倍率で増幅して、上の大きいマイコンにアナログ入力させているようです。
 
 
   
 
 大きなボールはんだを見つけました。大電流が流れる基板にこれは怖いですね。
 念のため取り除きます。
 
 
   
 
 メイン制御に使用されていると思われるマイコンです。
 中国メーカーGigaDevice社の GD32F303VGT6 というARM Cortex M4 3.3V 32bitマイコンで、
アナログ入力は12bit 16ch のようです。
 
 
   
 
 SL7805 という5Vレギュレータが付いています。その右下にRT1の記号があり、ヒートシンクと接着されているようです。ここでヒートシンクの温度を測定しているようです。
 
 
   
 
 2SC2073というNPNトランジスタが付いており、その右下に冷却ファンの電線コネクタがあります。
1.5A,150V,25Wという電力用トランジスタですので、冷却ファンの制御用でしょうか。PWMで回転制御をしているようには感じられませんでした。
 
 
   
 
 真ん中の3つの大きなFETで抵抗負荷を実現しています。FETの左下はアンプ回路で、FETのゲート電圧とシャント抵抗の電圧をそれぞれのアンプで増幅していると思われます。FETの右下の針金のようなものはシャント抵抗です。
 上側は電源回路で、シルク印刷から5V、3.3V、3.3Vその2、2.4V、12V、-10Vの6電圧を生成しているようです。
 
 
   
 
 FET周辺の拡大写真です。銅色の太い針金がシャント抵抗です。FETには、P40N20というFETが使用されています。「HL」というマークがあり、恐らく中国系インディーズメーカーのためか、型番で調べても分かりませんでした。
 型番からSTP40N20のコンパチ品と思われ、Nch 200V 40A Ron=45mΩ 程度のスペックかなと思ったのですがどうやら違うようです。
 
 前面端子の+側からハンダが盛られた太いパターンを介してシャント抵抗に接続し、ソースと思われる端子に接続されているため、Pch FETかもしれません。もしくは中華製トランジスタのようにピン配が異なり、ドレインソースが逆なのかもしれません。
 
 本品にはヒートシンク片面に3個ずつ、合計6個のFETが並列接続で使用されています。この電子負荷の最大定格は40Aです。
 TO-247パッケージのため大電流対応なのは間違いなく、定格に対して十分なFETが選定されていると思うかもしれませんが、一般的に電子負荷ではFETのゲート電圧が低い時に電流が流れにくい特性を使用しているため、設定抵抗値が高いほど、すなわちゲート電圧が小さいほどFETが膨大な発熱をします。
 
 
     
 
 アンプ回路の拡大写真です。テスターで配線を追った訳ではなく、見えている基板からの簡単な推測です。
シャント抵抗の電圧増幅には、8311と記されている5pinのアンプ(MS8311)のアンプで増幅しているようです。ゲート電圧はTi TL072C のアンプにて定電流となるようコンパレータ制御しているようです。TL072Cの最大定格は30V、MS8311の最大定格は6Vです。
 
 
   
 
 ME7660CというチャージポンプDCコンバーターICを見つけました。シルク印刷から-10Vを生成しているのだと思われます。
 
 
   
 
 ヒートシンクの反対面です。
こちらはFETと電流検出回路のみのシンプルな基板です。
 
 
   
 
 電子負荷の負荷端子部分の裏面です。端子から出る電流をこの長い銅色のシャント抵抗で測定して、メインマイコンでフィードバック制御をしてFETの電圧を変化させているのだと思われます。
 
 
   
 
 FETの端子と基板のはんだ付け部分には、端面スルーホールが使用されています。FETや基板に応力が掛からないように、基板を取り付けて、FETをヒートシンクに取り付けてから、最後にはんだ付けをしているのでしょうか。
 
 
   
 
 右上の茶色い基板は、AC-DCの電源回路です。AC100Vに接続されている赤い電線は、前面の電源スイッチと繋がっています。スイッチ部分に直接AC100Vが掛かるようになっています。
 
 
   
 
 背面下にある緑色の端子台の裏側です。EL357N というフォトカプラが並んでおり、端子から絶縁されて入力されるようになっています。
 
 
   
 
 
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 □ 3.動作確認
 
 
 |  | では通電させてみます。画面はカラーです。 ボタンやダイヤルは普通に反応し、中華製だから反応が悪いといったことはありません。
 
 
 
   
 
 選択できるモードです。6モードの他に、LEDやバッテリー電池といった特定の負荷を想定したモードもあるようです。
 
 
   
 
 設定メニューです。
 
 
   
 
 
 
 次のレポートでは、実際に電子負荷の動作を確認してみます。
 
 
 
 
 次レポート
 >> No.0014 電子負荷の動作確認をしてみた ET5410A+
 
 
 
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