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No.3021 2022.2.26




オリンパス M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R のエラーを修理する





□1.エラーが出て使えない

このレンズのよくある故障として、「レンズの状態を確認してください」、「ズームリングを回し繰り出してください」、とエラー表示がされて使えない、黒画面のままで表示されないといった症状があります。
結論から言うと9割くらいの確率でフレキの断線です。では修理するために分解していきましょう。







□2.レンズの分解

このレンズを分解していきます。表面は分解したりしません。



裏面を分解していきます。端子面のネジ2本と、外周のネジ4ヶ所を外します。




端子面のカバーを外します。



外周のネジ4ヶ所のカバー裏面にワッシャーが挟まっているので、無くさないように外します。



端子と基板は矢印のフレキで繋がっているので、以後の作業では切らないようにカバーの蓋をずらします。



矢印2か所のフレキを外します。黒い部分を持ち上げて立てるとフレキが抜ける構造です。



こちらのフレキも外します。



写真のようにカバーの蓋をずらして、この3本の電線をはんだ小手を使用して外します。フラックスを塗って共晶はんだを少し盛ると綺麗に外れます。蓋はマスキングテープなどで仮留めしておくと作業が楽です。



基板を固定している左右2か所のネジを外します。




外した基板です。



3か所のネジを外して、レンズを外します。



バラしやすいように、矢印の3か所のネジを外します。 外すのは後でもいいのですが、早いうちに外しておいたほうが作業が楽です。



矢印のピンをニッパー等で摘まみ、引っ張って抜きます。



ピンはこのような構造になっています。



ピンを抜いた状態です。



レンズを少し繰り出した状態で上部のリングを回すと外れます。



レンズを矢印方向で最大まで繰り出して、上に引っ張ると外れます。



このピンの内径側にあるネジを外し、ピンも外します。



ボディと可動レンズユニットを分離させることができます。
可動レンズユニットの上に載ってる金属プレートは、外しておきます。



前側のレンズと可動レンズユニットを回して分離させることができます。



外した部品たちです。組み立て時までになくさないように保管しましょう。



可動レンズユニットを回して外側のハウジングを外します。



ネジを外して、位置センサ?(可変抵抗?)を外します。



取り付ける時は、この穴に突起が入るようにします。



2本のフレキを外します。矢印の部分で引っ掛かっていて、写真右側の穴に入る部分に両面テープで固定されています。切らないように慎重に剥がします。



フレキに気を付けながら、引っ張ってレンズユニットとハウジングを離します。



レンズユニットを引っ張って分離します。前玉側です。特にフレキに切れ等は見られませんでした。



後玉側です。



フレキの亀裂を発見しました。これが原因のようです。 この部分を交換しようと、部品取りでバラしたもう1つの物も同じ箇所が切れていました。 このレンズの欠陥(設計不良)のようです。



このフレキを交換するために、更にバラします。 2か所のネジを外してカバーを外します。



モーターユニットを外すために、2か所のネジを外します。



フレキに付いているピンを、ニッパー等で摘まんで引っ張って抜きます。 写真左側には位置センサーが埋まっているのですが、接着剤で固定されていてこのまま引きはがすのが不可能です。フレキは写真右端をニッパーで切離します。分解を想定してないとはいえ、意地悪な作りです。



モーターユニットが外れました。



モーターユニットからレンズを外すため、2か所のスプリングを外します。 まずはレンズ側を外します。スプリングはフック構造で引っ掛かっているだけです。超精密のピンセットが必要です。



もう1つのスプリングを外すために、モーターの軸を回して樹脂部品を矢印方向に移動させます。スプリングが縮まり、レンズも外しやすくなります。



スプリングを外します。



位置センサを外します。コの字型のセンサの周囲が接着剤て止まっているので、カッターで切り込みを入れます。切り込みを入れたら、フレキをラジオペンチ等で引っ張ってセンサを外します。



外した位置センサです。このセンサは再利用します。はんだを小手で溶かしながら、カッターの刃先等でフレキを浮かして取るような感じで剥がします。



新しいフレキです。



たっぷりフラックスを塗って、マスキングテープで固定してはんだ付けをします。



位置センサは、緑丸の印が外側です。



はんだ付けしました。小手の温度は300℃くらいまでにしておきましょう。 はんだは共晶が必須です。



モーター側です。こちらもフレキは切り離したほうが、外すのが楽です。



新しいフレキを付けます。こちらもたっぷりフラックスを塗ります。酸化が怖いと塗るのをケチると、痛い目に遭います。



念のため、切れたところと同じ箇所に、耐熱テープを貼って補強しておきます。



後は、バラしたときと逆の手順で組んでいきます。



□3.レンズ組み立ての要点

分解してみたけど、うまく組み立てられなくて断念した方も多いのではないでしょうか?
組み立てる時の要領をまとめてみました。
最初に共通することで基本的なことですが、各レンズの汚れや埃は綺麗に取り除きましょう。指紋が付いたまま組んでガッカリしないようにしましょう。レンズはウェットティッシュで軽く拭いて、綺麗なティッシュで水分を軽く拭き取るような感じが一番良いかと思います。

位置センサ側のフレキは、レンズ側の隙間から通して入れます。



位置センサは、接着剤が残っていれば押し込むだけで固定できます。フレキはピンで固定されるので、再び接着剤を使って固定する必要はないと思います。



後玉側の位置センサ付近に付いていた金属製?のカバーは、厚めの両面テープを貼り替えて取り付けます。



スライドセンサ?(可変抵抗?)は、突起が矢印の穴にはまるように取り付けます。



レンズユニットとハウジングを組み付ける方法です。 意外と分からなくなって断念する方が多いのではないでしょうか?



【要点1】スライドセンサとハウジングの突起が合う位置で合わせます。



【要点2】2つのピンが溝にはまるように合わせます。
要点1、2を気を付ければ簡単に入ります。



前玉とレンズユニットを組み付ける方法です。これも分からなくて断念する方が多いのではないでしょうか?



レンズユニットを回して写真の位置まで突き出します。ハウジングとレンズユニットの溝が写真のように合うようにします。



前玉側の切り欠きと、ハウジングの突起が合う溝に合わせて、回して押し込みます。



金属のプレートは、プレート端の突起がレンズユニット側の穴にに嵌まるように置きます。



ここまで組んだら、もう一息です。



ビスは付け忘れないように気を付けましょう。



はんだ付け時は、基板にフラックスを塗りましょう。新しいフレキは抜けやすいので、端子を脱脂して抜けない様にフレキとコネクタをテープで貼っておくと良いでしょう。



以上で完了です。無事に使えるようになりました。



□4.最後に

オリンパスのレンズは、このような不具合でメルカリ、ヤフオクで沢山売られています。ネットで調べてみても不具合が多いようです。このレンズではありませんが、「パンケーキ」と呼ばれる物は特に壊れやすいようです。
問題なのは、出品されている物のほとんどが綺麗な使用感のない物です。せっかく奮発して買ったのに、大切に使っていた、もしくはほとんど使っていないのに壊れてしまえば二度と買わないでしょう。安くないカメラがすぐに壊れたと聞けば、他の人も買わなくなるでしょう。みんな「スマホでいいや」となってしまうはずです。デジカメ市場が終わった理由は、デジカメで安易にフレキが多用され、品質や信頼性が大幅に低下して自滅したのが原因だと強く感じました。努力が実らなくて撤退したというよりは、デジカメ市場を荒らして逃げたというのが正解だと思います。

ちなみにフレキ問題は、任天堂の携帯ゲーム機でも発生しています。3DSでフレキの切れが多発し、new 3DSではフレキの補強がされ、最終的にSwitchでは折り畳みが廃止されて可動部を無くすことでフレキ問題が解決されています。

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