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No.0014 2023.6.11




電子負荷の動作確認をしてみた ET5410A+








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□ 1.電子負荷の動作確認

電子負荷で最も使用する、CRモード(定抵抗モード)について動作を確認します。
抵抗値の設定は、Ω値でできます。他メーカーにおける電子負荷の場合、コンダクタンス値で設定したり、設定方法が特殊だったりしますが、これは簡単にできます。

FETの発熱を測定するために、熱電対を付けます。すべてのFETを測定するのは大変なので、片側の3ch分のみ測定します。




直流安定化電源と電子負荷を接続して、動作確認をします。
回路は、単純な電源と抵抗の組み合わせです。




実際の環境は、写真のようになります。
オシロスコープで電源電圧と電流波形を測定し、安定度を確認します。






(1) 2A 5Ω

最初に電子負荷を5Ωに設定します。電源電圧は10Vに設定するため、電流は2A流れることになります。





このときの温度上昇は、凾s=2.2℃でした。FETによって温度上昇にバラツキがありますが、微々たる上昇で余裕があります。





電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。







(2) 10A 1Ω

次に電子負荷を1Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は10A流れることになります。 経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.11V分を昇圧させています。





このときの温度上昇は、最大で凾s=21℃、表面温度Tc=44.3℃でした。FETによる温度上昇のバラツキが大きくなっています。





電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。







(3) 20A 0.5Ω

次に電子負荷を0.5Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は20A流れることになり、消費電力は200Wとなります。こういった大電流となる抵抗値を気軽に設定できるのが、電子負荷の長所です。
経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.26V分を昇圧させています。





このときの温度上昇は、最大で凾s=32℃、表面温度Tc=56.4℃でした。最も発熱の高いFETと低いFETとの温度差は、16.1℃もあります。





電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。







(3) 30A 0.33Ω

次に電子負荷を0.33Ωに設定します。電源電圧は10V一定のため、電流は30A(300W)流れることになります。わずか0.17Ωの低下で20Aから30Aへ増加しますが、設定した抵抗値を安定的に使用できるのも電子負荷の長所です。
経路上の損失による電圧降下があるため、電源電圧は電子負荷の入力が10Vとなるように0.42V分を昇圧させています。





このときの温度上昇は、最大で凾s=48℃、表面温度Tc=71.8℃でした。最も発熱の高いFETと低いFETとの温度差は、23.5℃もあります。一般的なTO-247パッケージのFETにおいて強制空冷でない場合、表面温度Tcの温度上昇が70℃を超えると危険であると思いますので、30A程度に留めておいたほうがよいでしょう。温度上昇のバラつきが小さい個体で、もしくは電子負荷を使用する周囲温度(雰囲気温度)が低い状態で一定していれば、定格の40Aでも長時間安定的に使えると思います。





電圧や電流波形に変動はなく、安定しています。電流はCH2で、1A=0.1Vとなります。






□ 2.電子負荷のフローティング

電子負荷のマイナス側端子と電源GNDの間に、5Ωのメタルクラッド抵抗を接続させてみます。この状態で電子負荷を5Ωに設定し、電源電圧を10Vに設定します。計算上は1Aの電流が流れ、電子負荷は5Vフローティングした状態になります。





実際のメタルクラッド抵抗です。十分な電力量を確保し、ほとんど発熱しないようにしています。





ほぼ計算通りに動作していることが分かります。





以上の通り、電子負荷として問題なく使用できることが確認できました。
FET発熱のばらつきが大きく、個体差によってどれだけ違うのかの検証はしていません。
少なくとも本機を使用してみた限りにおいて30A程度であれば、真夏の高温下でも問題なく使用できるでしょう。

なお今回は電源電圧10Vで検証しましたが、電子負荷の動作において問題となるのは電流量です。電源電圧を50Vに上げても電流量が同じ場合、FETの発熱量は同じです。電源電圧が10Vでも50Vでも、電流量が2AであればFETの発熱量は同じです。FETの発熱は、Nchの場合においてドレイン電圧Vdに影響しません。






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